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従業員がいる会社の倒産に伴う手続き

1 従業員がいる会社の倒産は、様々な手続きが必要

従業員を雇っている会社が事業をやめる場合、従業員がいない場合と違って様々な手続きが必要になります。

ここでは、その一例と対応方法を紹介します。

2 離職票の発行

雇用保険に加入している従業員がいる場合、会社が事業をやめれば失業保険を受給できるケースが多いです。

失業保険を受給するためには、離職票の発行が必要です。

離職票は、会社破産の場合、過去6ヶ月間の賃金の額から失業保険の額を決めたり、会社都合か自己都合かによっていつから失業保険がもらえるかが異なるため、

正確に作成する必要があります。

会社であれ個人事業者であれ、従業員を解雇してから10日以内に発行するのが原則であり、社会保険労務士等の専門家に依頼することもあります。

3 社会保険の資格喪失

厚生年金や会社の健康保険に加入している従業員がいる場合、会社が事業をやめるならその社会保険から脱退する必要があります。

従業員は、国民年金や国民健康保険に加入するか、任意継続という従業員自身が掛け金を払うことで今までの資格を継続するかを選択することができます。

会社が社会保険事務所に資格の喪失届を出さないと、従業員は健康保険がない状態になり、医者にかかるにも全額負担となるおそれがあります。

4 住民税等の特別徴収の異動届

会社が従業員の給料から住民税を天引きしている場合、会社が事業をやめるなら源泉徴収しなくなる分、従業員個人で住民税を支払う必要が生じます。

住民税を天引きすることを特別徴収といい、これを従業員個人で支払う普通徴収に切りかえるための届出なので、特別徴収の異動届と呼んでいます。

役所は、会社が倒産したことを自動的に知るわけではないので、従業員が居住する自治体に、住民税の特別徴収の異動届を出す必要があります。

5 源泉徴収票の発行

従業員の源泉徴収をしていた場合、源泉徴収票を発行する必要があります。

従業員は、次の勤務先の給料と合わせて年末調整して税金の還付を受けたりするのに使います。

顧問の税理士にお願いすることも多いですが、会社破産で税理士報酬が未払いの方等は、社長自身で作成するか、別途専門家に依頼することもあります。

6 このように従業員がいる会社が倒産する場合、様々な手続きを急いで進める必要があります。

会社破産は、税理士や社会保険労務士とも連携がとれる弁護士に依頼すると、従業員関係の手続きも円滑に進みやすいでしょう。