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刑事事件の責任能力

刑事事件では,被告人の責任能力がないと判断されれば,無罪になったり,刑罰が軽くなることがあります。

無罪になるほど責任能力がないのを心身喪失(しんしんそうしつ),責任能力に乏しく刑が軽くなるのを心神耗弱(しんしんこうじゃく)といいます。

その趣旨は,被告人にはどうすることもできない原因により精神障害をわずらって犯行に及んでしまったとき,被告人を法的に非難することはできないからなどと説明されています。

責任能力があるかないかを検討するには,精神医学的な側面と法的な側面の両方から検討する必要があります。

異常な犯罪の異常さが病的なものかどうか,病的なものであるとして,その精神障害が犯行にどの程度の影響を与えたかという判断が精神医学的な側面です。

そして,被告人を法的に非難することができるかという法的な側面があります。

心身喪失や心神耗弱と判断されるのは,統合失調症と診断されているケースが多いので,弁護人としては,統合失調症の方を中心に精神の障害によって犯罪を引き起こしてしまった

と考えられる場合には,心神喪失や心神耗弱で無罪になったり減刑したりできないか検討することになります。

どのような場合に心身喪失や心神耗弱となるのかは,最終的には裁判所が,精神鑑定の結果,裁判所での立ち居振る舞いや事件記録に表れている供述等様々な事情を考慮して判断しますので,

限界事例の判断は難しいものがあります。

弁護士法人心では,刑事事件も取り扱っております。