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投資詐欺と自己破産、個人再生

1 投資詐欺による借金

債務整理の相談に10年以上のっていると、昔に比べて投資詐欺や副業詐欺に引っかかったことで借金が増えたという人が増えていると感じます。

いずれも詐欺を働いている者が一番悪いのですが、一気に多額の借入をすることになり、見通しが外れるとすぐに返済できない状態になるので注意が必要です。

ここでは、投資詐欺が原因で借金ができた場合に自己破産、個人再生をする場合の問題点を解説します。

2 自己破産では免責不許可の可能性が十分ある

破産法は、投資によって多額の借金を抱えることを免責不許可事由(借金をチャラにできない事由)と定めています(252条1項4号)。

特に借りてすぐに返済できないからと弁護士に自己破産を依頼しようとしても、債権者(お金を貸した銀行や消費者金融)からすると、投資が運よく成功すれば高い利益が得られ、

失敗した場合は破産でチャラにすればよいと思って(返済する気なく)借入をしたと考えるので、詐欺で刑事告訴されることもあります。

裁量免責といって、生活状況や破産手続中の対応によっては免責を得られるケースもあるので、必ずしも諦める必要はありませんが、破産管財人という第三者的立場の弁護士が選ばれ、破産の費用もかさみ、破産管財人の調査も厳しいものになります。

3 個人再生では返済額がほとんど減らない可能性がある

個人再生は、投資詐欺で借金が増えたというだけで不許可になるわけではありません。

しかし、個人再生では借金の返済額は、少なくとも財産の総額を上回っていなければなりません。

たとえば、借金額が1000万円あり、財産が1100万円あると裁判所に認定されれば、全く借金が減らないことになります。

投資詐欺の場合は、配当を受ける権利(債権)が存在するか、本当に詐欺なら損害賠償請求できるはずです。

たとえば1000万円借入して1000万円投資した場合は、1000万円の損害賠償請求権か1000万円以上の配当を受ける権利を有しているのが通常です。

これが回収できるなら1000万円の財産になるので、借金額は全く減りません。つまり、回収できないということが証明できなければ、個人再生をしても意味がないことになり

ます。

 

 

 

住宅ローンが払えないときの対応

1 住宅ローン会社で支払額を見直す

収入が減って住宅ローンが払えなくなる方の相談はよくあります。住宅ローン以外にほとんど借金がない方の場合、最初に考えるのは住宅ローン会社に相談することです。

借り換えで返済期間が長くならないかや、ボーナス払いをならしたり、返済期間を延ばすことで、支払額が減って資金繰りがつくケースもあります。

2 住宅ローン以外の借金の任意整理やおまとめローン

住宅ローン以外や車のローン以外の借金が数百万円あるなら、住宅ローン以外の借金の返済額を減らす方が効果的なことが多いです。

住宅ローン以外の借金は、利率も高く、借入額の割には返済額が大きく設定されていることが多いからです。

おまとめローンが組めて、返済先が一本化できて、金利も下がり、返済額も減るなら一つの解決になります。

ただ、おまとめローンで一部しかまとめられないケースや、返済額が減らないケースも多いです。

任意整理という、弁護士等の専門家を通した分割払いの話し合いなら、金利を0に近づけて毎月の返済額もおおむね5年(60回)払い程度まで減ることが多いです。

3 個人再生

住宅ローン以外の借金がかなり多くなると、分割払いの話し合いでは支払いきれなくなり、個人再生という裁判所でやる手続きを検討します。

住宅ローンは約束どおり支払い続けて自宅を残し、それ以外の借金はおおむね5分の1まで減るので、住宅ローン以外の借金の負担は大きく軽減されます。

4 不動産の任意売却やリースバック

住宅ローン以外の借金が少なく、自宅を手放してもよいと思える場合は、自宅を任意売却するのがよいでしょう。

住宅ローンを完済できないと売れないという不動産業者等もいますが、実際は住宅ローンの会社が担保を外してくれれば売れるので、住宅ローンの残額を下回っても売れる場合が

あります。

また、自宅に住み続けたいが自宅の所有にこだわらない方なら、リースバックという、自宅を不動産業者に売って一時的に現金を得て、賃料を払って住み続けるケースもありま  す。

5 自己破産

どうやっても住宅ローンが払えない場合や、離婚等で持ち家を維持するメリットがなくなっている場合は、自己破産するのが最も楽になる方法です。

自宅は手放すことになりますが、借金はゼロになって、収入があれば少しずつ貯金できるようになるでしょう。

司法修習生と倒産実務修習の講師

1 司法修習生とは

司法修習生は、司法試験に合格して、弁護士、検察官、裁判官になるための研修を受けている人をいいます。

私も10年以上前ですが、司法修習生として弁護士事務所、裁判所、検察庁、司法研修所で研修を受けました。

私が修習生のときは給料が出ていましたが、一旦司法修習中の生活費が貸与される(返還義務がある)形になり、2025年現在は月額約15万円の給付金が出るそうです。

2 司法修習中に倒産事件を経験するとは限らない

司法修習生は、修習中に、刑事事件と一般的な民事裁判は経験します。

二回試験という、司法修習を終えた後の試験に合格しないと弁護士、裁判官、検察官になれないのですが、この試験科目に刑事事件と民事裁判があるからです。

また、検察庁では刑事事件しか取り扱っていませんので、刑事事件は修習生は誰もが複数見ることになります。

倒産、交通事故、相続等の案件は、修習に行った弁護士事務所や裁判所で行われてるのを見るケースもありますが、配属される弁護士事務所や裁判所によっては見ることができないケースもあります。

修習中に経験する機会がなければ、弁護士になってから研鑽を積むほかありません。

3 倒産実務修習

先日、愛知県弁護士会の倒産実務委員会が主催する倒産実務の修習で、他の講師と一緒に修習生のゼミの講師をする機会に恵まれました。

修習生や他の講師(弁護士)と一緒に、個人事業者の自己破産や、サラリーマンの個人再生の架空の案件を題材に、どのように実務で対応するか議論するものです。

今年でこの講師も4年目になりますが、実務の世界でも答えが出ていない悩ましい問題もあり、他の弁護士がどう対応しているかきいたり、実務にはついていないものの理論は

勉強している修習生の疑問点に回答しようとすると、自分はなぜこういう対応をしてきたのだろうかと振り返る良い機会になります。

自己破産は件数も多く、経験している修習生も多かったですが、個人再生は経験している修習生は少なかったです。

債務整理を数多く扱っている事務所に所属しているからこそ、日々経験できるものも多いと感じます。

個人の通常民事再生

1 債務額が5000万円を超えると個人再生は選択できない

個人の方が自宅を残したり事業を継続して借金の負担を減らしたいとき、任意整理(分割払いの話し合い)で払い切れなれなければ個人再生を選択することが多いでしょう。

ただ、個人再生は、債務額が5000万円(計算方法は細かいので詳細は弁護士までおたずねください。)を超えると選択できません。

保証債務の額が大きい方や個人事業主の場合、5000万円を上回る負債があるケースもまれではありません。

この場合、個人再生ではなく通常民事再生という手続きで、裁判所を通じて借金を減額することを検討します。

2 通常民事再生と個人再生の違い

⑴ 借金の減る額

個人再生が負債額に応じて10~20%まで借金が減らないと決まっているのに対して、通常民事再生では清算価値(持っている財産の時価)まで減額するこ

とができます。たとえば負債額が6000万円で清算価値が300万円の場合、うまくいけば借金が300万円まで減額でき、5%しか借金を払わなくてよいことになります。

⑵ 裁判所に払う費用

通常民事再生は、監督委員や調査委員といった第三者的立場の弁護士が必ず選任される運用になっており、予納金(裁判所に支払う費用)は個人再生が2万5000円~

25万円程度なのに対し、通常民事再生は30万~100万程度と高額になっています。

⑶ 債権者の賛成の数え方

基本的に個人再生も通常民事再生も債権者の過半数の賛成が必要ですが、賛成とも反対とも意思を示さなかった場合、個人再生では賛成したものとみなしますが、通常民事再

生では反対したものとみなされます。

これにより、債権者が積極的に賛成に回ってくれないと通常民事再生は成功しません。

3 まとめ

近年通常民事再生の件数は、2⑵の予納金が高いこともあって減少傾向にあります。

その分通常民事再生の経験がある弁護士は少なくなり、個人再生より複雑であることから、専門性が求められる状態になっています。

負債額が5000万円を超えるが、事業を続けたり資産を残したい方は、通常民事再生に詳しい弁護士にご相談ください。