月別アーカイブ: 2014年 11月

中部倒産実務研究会

中部倒産実務研究会という,中部地方の倒産事件をよく取り扱う弁護士の研究会に出席してきました。

テーマは,債権者破産の申立てです。

破産というと,破産したい人が自ら申し立てる自己破産が一般的ですが,債権者にも破産の申立てをする権利があります。

債権者破産は,予納金も自己破産より高額になりがちですし,申立てをする者が債権者であることや,債務者が支払不能であることの立証が困難な場合等,開始要件をめぐって争いになることも珍しくありません。

それでも,債務者が財産を隠している疑いがあったり,財産がどこにあるか発見しづらい場合等,管財人に債務者の財産を発見して換価させることで,効果的に債権回収が図れるケースもあります。

弁護士として,活用できるようになりたいですね。

 

子どもの手続代理人マニュアル第3版

「子どもの手続代理人」という制度があります。

たとえば,離婚の際には,夫婦が自分の利益を追求するあまり,子どもの利益がなおざりになるケースもあります。

夫や妻に代理人の弁護士がついているのに,子どもには弁護士がついておらず,自分の声を裁判所等に伝えるのが難しいケースも珍しくありません。

そこで,子どもの代理人として活動する弁護士が,「子どもの手続代理人」です。

一般にはあまり知られておらず,子ども自身が弁護士を選ぼうとするケースはまだまだ少ないですが,一定の事例の集積がなされ,弁護士が「子どもの手続代理人」として活動する場合のマニュアルが,今回改訂されました。

このような制度を知っていただき,子ども自身が,大事な手続きに意見を反映させることができる機会が保障されることを願います。

 

過払金返還請求の手引き第5版

写真この本の元版は,私が,過払金返還請求を始めるにあたり,最初に勉強した本です。

約4年ぶりの改訂で,貸金業者の名称の変更,合併,倒産などを追跡したページが追加されています。

あまり過払いをやらない弁護士にとっては,貸金業者の情報を入手するのが一苦労なので,昔の貸金業者の名称等が掲載されているのは,弁護士のニーズに沿うものといえます。

 

再生債務者の第三者性

民法では,不動産の所有権の移転や抵当権の設定は,その登記をしなければ,第三者に対し,所有権の移転や抵当権の効力を主張できないとされています。

民事再生手続が始まる前に,債務者が,根抵当権の設定登記をすると約束していながら,これをしないうちに民事再生手続が始まった場合に,根抵当権の効力を主張できるか争いになった裁判例があります。

大阪地裁平成20年10月31日判決は,再生債務者が,債権者のために,公平かつ誠実に,財産を管理処分する義務を負うという民事再生法の規定等を根拠に,根抵当権の設定登記がなされていなければ,再生債務者との関係でも,根抵当権の効力を主張できないとしました。

弁護士の間では,「再生債務者の第三者性」と言われている問題で,自己破産の管財人に対しても,同様の結論になると言われています。