再生債務者の第三者性

民法では,不動産の所有権の移転や抵当権の設定は,その登記をしなければ,第三者に対し,所有権の移転や抵当権の効力を主張できないとされています。

民事再生手続が始まる前に,債務者が,根抵当権の設定登記をすると約束していながら,これをしないうちに民事再生手続が始まった場合に,根抵当権の効力を主張できるか争いになった裁判例があります。

大阪地裁平成20年10月31日判決は,再生債務者が,債権者のために,公平かつ誠実に,財産を管理処分する義務を負うという民事再生法の規定等を根拠に,根抵当権の設定登記がなされていなければ,再生債務者との関係でも,根抵当権の効力を主張できないとしました。

弁護士の間では,「再生債務者の第三者性」と言われている問題で,自己破産の管財人に対しても,同様の結論になると言われています。