月別アーカイブ: 2017年 3月

債務整理を依頼した後に財産を減少させる行為

自己破産や個人再生を依頼した後に,自動車の所有者の名義をかえたり,保険の契約者を変更したりすると,どうなるのでしょうか。

自己破産や個人再生をする方が所有している自動車の所有者の名義を,ご親族にかえると,本来であれば債権者に分けられる可能性のあった財産を故意に減らしたことになります。

自己破産や個人再生を依頼した後は,このように財産を故意に減らす行為をすると,自己破産であれば免責が得られず,借金の支払義務が残る可能性が高くなります。

また,ご親族に名義を変える行為を管財人が否認し,名義を自己破産する方に戻してくることになります。管財人が,ご親族の方を相手に裁判等をすることもあります。

個人再生でも,債権者に支払うべき額が増加したり,そもそも個人再生が不当な目的でされたものとして認められない可能性があります。

そうはいっても,生活に困って保険等を解約せざるをえないこともあるはずで,どのような行為が財産を故意に減らす行為に当たるかは,微妙なケースもあります。

自己破産・個人再生等を依頼した方が,無断で,財産を処分・解約したり名義をかえたりすれば,弁護士が辞任することも珍しくありません。

必ず事前に依頼した弁護士にご相談されることをお勧めします。

保証債務と時効の中断

最高裁判所が平成29年3月13日,保証債務の時効中断について興味深い判断を示しました。

(事案)

X・Yは,平成6年,XのAに対する貸金につき,Yが連帯保証する旨の公正証書を作成した。

Xは,平成16年12月,Yに対し,貸金の返還を求める支払督促の申立てをし,仮執行宣言付支払督促が確定した。

Xは,平成26年8月,Yに対し,保証債務の履行を求める訴訟を提起し,Yが消滅時効を援用した。

(最高裁の判断)

公正証書は,借り受けを証するためではなく,保証契約締結の趣旨で作成されたものであることを前提に,貸金返還請求権の根拠となる事実は,保証債務履行請求権の根拠となる事実と重ならず,保証契約の成立を否定するものであるから,貸金債権の行使により,保証債務履行請求権についても行使されたことになると評価することはできないとして,支払督促による時効中断を認めず,Yの消滅時効の援用を認めた。

(私見)

X側からすると,一般に,主債務に対して時効中断措置を講じれば,保証債務に対しても時効中断の効力が及ぶとされているので,平成16年の時点で,XがAに対しても支払督促を行っていれば,このような問題は生じなかったと思える。

Y側からすると,支払督促以外の時効中断の手段でも,請求を受けたり承認したのがどんな債権なのか確認し,時効消滅の可能性を見逃さないよう,注意する必要があると思われる。