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通常民事再生の再生計画案の議決

1 民事再生と債権者の賛成

民事再生は,裁判所を通じて,再生計画案に定める額まで借金を減額してもらって,分割で返済していく手続きです。

民事再生法には,個人の方が利用できる手続きとして,個人再生と通常の民事再生の2つが定められています。

個人再生は,大雑把に言えば,借金額が5000万円以下でなければ利用できず,借金額が5000万円を超えれば,通常民事再生になります。

通常民事再生でも小規模個人再生でも,一定の債権者の賛成が必要となる点では共通です。

賛成の割合としては,頭数で過半数,金額ベースで2分の1以上となっています。

2 個人再生と通常民事再生で,賛成の取り方が違う

債権者が賛成するか反対するかの集計の仕方は,個人再生と通常民事再生で異なります。

個人再生では,原則書面決議で,積極的に反対票を投じない限り賛成したものと扱われます。

つまり,賛成反対のいずれにも投票しなかった債権者は,賛成扱いです。

これに対して,通常民事再生では,積極的に賛成票を投じない限り反対したものと扱われます。

つまり,賛成反対のいずれにも投票しなかった債権者は,反対扱いです。

3 通常民事再生の賛成を得る方法

通常民事再生では,書面決議だけでなく,債権者集会での投票による決議もよく選択されます。

債権者集会は,債務者やその代理人弁護士が,債権者向けに再生計画案の内容を説明したり,逆に債権者からの質問に答える場です。

書面決議だけの場合,集会の会場確保等の準備がいらない反面,債権者の疑問に十分に答えられなかったり,債権者の要望に応じて再生計画案を

修正することもできません。

また債権者集会の投票のみでは,出席できない債権者の議決権行使が大変ですから,書面決議と集会における決議を併用する方法をとることも多いです。

いずれの方法でも,債権者に対し,投票に先立って,なぜその支払額・期間になっているのか,これ以上払うのが難しいのか等を説明して理解を得ておく

ことが大切でしょう。