満20歳未満の者が、窃盗、傷害その他の刑事事件を起こした場合は、少年法という法律で、成人の刑事罰とは異なる取り扱いを受けることをご存じの方もいらっしゃると思います。
2021年5月21日、少年法が改正され、18歳・19歳の少年がこれまでと異なる取り扱いをされるようになった点についてお伝えします。
1 成人と同様に処罰の対象になる事件の範囲が拡大された
少年法では、14歳以上20歳未満は、性別を問わず少年としています。
少年事件は、家庭裁判所に送致され、家庭裁判所で少年審判が行われるのが原則です。
成人の刑事事件と異なり、少年は更生の可能性が高いことから、処罰を与えるのではなく、更生の役に立つ処遇をしようと家庭裁判所が審判をしています。
しかし、重大な被害がある事件を起こした少年が処罰を受けないのは社会の理解が得られにくい等として、16歳以上の少年で、故意に人を死傷させた者は、原則逆送といっ
て、家庭裁判所から検察に戻され、刑事罰を受けさせることになっていました。
これでは範囲が狭いということで、今回の改正では、18歳・19歳の少年は、短期が1年以上の懲役または禁錮以上の罪(強盗や強制性交罪等)も原則逆送の対象になりまし
た。
2 一部実名報道が可能になった
これまで、少年の今後の更生の妨げになる点等から、少年法で実名報道や個人を特定できる写真の掲載を禁止していました。
今回の改正では、被害者が実名報道等されることもある一方で、成人に近い年齢で重大犯罪を犯した者の実名報道がされないことに社会の理解が得られない等として、
18・19歳の少年については、起訴された後は実名報道を可能としました。
3 18歳と20歳が近い時期に事件を起こした少年の取り扱いは注意が必要
子の法改正は、2022年4月から施行されます。
一般的に、いつの時点で18歳や20歳であった者を対象としているかといえば、審判や起訴の時点を基準に考えます。
事件を起こしてから警察の捜査が始まるまでも時間が空くこともありますし、警察の捜査から審判までも時間が空くので、事件を起こしたときに19歳10カ月の者は、審判時
には20歳になっている可能性があり、そもそも少年事件でなく、成人の刑事事件として取り扱われる可能性があります。
少年の弁護をする弁護士としては、18歳と20歳に近い少年の場合は、審判や起訴の時期によって大きく取り扱いが変わる可能性があるので、有利不利を考えながら活動する
に必要があります。