岐阜地方裁判所が,平成30年8月1日から,自己破産の運用を変更する旨の連絡がありました。
自己破産には,同時廃止と管財事件という大きく2つの分類があります。管財事件は,さらに少額予納管財事件と通常管財事件の2種類に分かれます。
少額予納管財事件(名古屋や岐阜の弁護士は,「S管」と呼んでいます。)と通常管財事件の大きな違いは,裁判所に納める予納金の額です。
S管は約22万円ですが,通常管財事件では約42万円です。
この違いは,管財事件であれば裁判所が選任する管財人という弁護士の業務量の違いであり,通常管財事件になるものは,管財人の業務量が多い事件ということになります。
今回の運用の変更は,S管でやれる事件を限定し,通常管財事件になる事件を多くする方向に働くものです。
たとえば,S管でやれるのは,弁護士を代理人に立てたもの(自分で申し立てたり司法書士に依頼した場合は満たさない)で,預金や保険の額もわずかな場合に限定されました。
また,これまで明確にされていなかった予納金を分割で納付することができる場合も,限定的にしか認めないことを明確にしました。
たとえば,家計の状況等からみて真にやむを得ない(節約の余地がない),財産を処分(車の売却や保険の解約等)して用立てることもできない場合等とされています。
これらは,自己破産のハードルを高くし,資料集めや節約を精一杯行うことを求めるものともとれ,自己破産は最後の手段であり,任意整理や個人再生で可能な限り解決することを求める裁判所のメッセージともとれます。