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少年事件の記録の閲覧の制限

非行をした少年の弁護を引き受けると,弁護士は,家庭裁判所に事件の記録を読みに行きます。

事件の記録には,少年が犯したとされる非行の証拠や,家庭環境等について裁判所が調査した結果も載っており,少年の弁護をするうえで非常に重要です。

平成28年12月1日から,少年審判規則の改正により,記録の閲覧に制限が加わることになりました。

閲覧させることにより,人の身体や財産に害を加えたり,又は人を畏怖させたり困惑させたりする行為や人の名誉や社会生活の平穏を著しく害する行為がなされるおそれがある事項が記載・記録されている部分があると認められるとき,裁判所は付添人(弁護士等)に対し,少年若しくは保護者に知らせてはならない旨の条件を付すこと,又は少年若しくは保護者に知らせる時期若しくは方法を指定したり,記録の閲覧を禁ずることができるようになりました(少年審判規則7条3項,4項)。

最高裁判所によると,この改正の趣旨は,事件関係者が,自分の氏名や住所が少年や保護者に特定されて,生命・身体の安全が脅かされるかもしれないという不安を抱き,裁判所の手続きや捜査への協力を拒否する事例がありえたことから,関係者がより安心して情報を提供することができるようにしたとのことです。

たしかに,関係者がより安心して情報を提供できるようにする必要がないとはいえませんが,一方で,弁護士が記録を閲覧できないと,少年が非行をやっていないと主張している場合に冤罪を防ぐためにどの程度証拠があるのか把握しづらくなったり,少年の将来を考えるうえで必要な情報まで把握できなくならないか心配もあります。

 

2種類の個人再生

個人再生には,小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

小規模個人再生は,債権者の半分以上が反対しないことが条件となりますが,一般的にはこちらを選択する方が多いです。

給与所得者等再生は,債権者の賛成がいらない代わりに,可処分所得の2年分を上回る金額を返済しなければなりません。

可処分所得の2年分とは,収入から最低限の生活費や税金等を差し引いた残りの金額であり,収入が多い人や扶養家族の少ない人は,高額になるケースが多いです。

また,債権者が反対するケースは少ないので,債権者の半分以上が反対しないという要件を満たすことは,それほど困難でないケースの方が多いでしょう。

したがって,小規模個人再生を選択する方が多いのですが,しばしば反対する債権者もいるので,そのような債権者から多額を借り入れている方は,給与所得者等再生を選択することもあります。