会社の債務整理と資金繰り

1 会社は現金がなくなると倒産する

会社は赤字だから倒産するわけではありません。

このことは,誰もが知っている大きな会社が赤字決算でも事業を続けられていることや,黒字倒産という言葉があることからもわかります。

もちろん赤字が続けば,最後は会社は倒産するでしょうが,来期黒字に転じることができれば,会社は続いていくのが通常です。

一方で,黒字でも倒産する場合があります。

たとえば,商品を仕入れて売る卸売業で,売上は1000万円発生しているが,入金は6ヶ月後で,現在,仕入ができない状態になっているとします。

仮に仕入代が600万円で足りるとしても,仕入をする現金が用意できず,後払いでの仕入れもできなければ,売上の入金がある6ヶ月後まで事業は止まってしまいます。

このように,会社が倒産するのは,赤字のときではなく,現金がなくなったときなのです。

2 資金繰りの重要性

会社経営をされている方から債務整理の相談を受けたときに,弁護士等の専門家が最初におうかがいするのが,資金繰りです。

先ほど書いたとおり,会社が事業を続けていけるかは,事業に必要な支払いができる現金があるかどうかにかかっています。

そこで,いつの時点まで事業に必要な支払いを続けられるか検討する必要があります。

会社経営をされていて債務整理を検討する方の中には,お金の関係を経理担当者や税理士に任せていたり,どんぶり勘定だったりして,支払ができなくなる直前まで

そのことに気づかず,選択の幅を狭めてしまっている方も少なくありません。

そのため,主な現金が入ってくる出来事と現金が出ていく出来事を整理する資金繰表が重要になってきます。

3 資金繰りの考え方

たとえば,毎月28日に大きな売掛金が入ってくるところ,給料日と仕入代金の支払日が毎月25日の会社があるとします。

これでは,売掛金から給料や仕入代金を支払うことができず,常に前月の売上から現金をプールしておかなければ給料や仕入代金が払えないことになってしまいます。

そこで,売掛金の入金日を25日より早くしてもらえないかや,給料日や仕入代金の支払日を月末に遅らせることを検討することになります。

つまり,入金を早くし,出金を遅くするということです。

また,廃業やむなしという場合は,25日の給料や仕入代金を支払わず,28日入金の売掛金で自己破産申立ての費用を用立てることを検討することになります。

このように,入金日と支払日が少し違うだけで,事業の展開は大きく変わってきますので,会社の債務整理を検討されている方は,まず大きな入出金だけでいいので,簡単な資

金繰表を作ってみられることをお勧めします。