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時効の援用

債務整理の方法の一つに,消滅時効の援用があります。

貸金業者からの借入は,最後の借入れ又は返済から5年間経過すると,消滅時効により

支払義務を免れることができるのが原則です。

ただし,貸金業者等が裁判を起こして確定判決を得ている場合等は,判決確定から10年間は時効により消滅しませんし,最後の借入れ又は返済後に債権者と話合い等をしている場合は,話合い等をしたときから5年間は時効により消滅しないというルールもあります。

また,5年や10年を過ぎれば勝手に支払義務がなくなるわけではなく,時効の援用という方法で時効により支払義務がなくなったことを相手方に主張しない限り支払義務はなくなりません。

借金の種類によって時効にかかる期間にも差がありますので,詳細は弁護士までお尋ねください。

帰省

ゴールデンウィークに大阪に帰省しました。

ついでに岡山に足をのばし,倉敷や岡山駅周辺を観光してきました。

倉敷は,星野仙一元中日ドラゴンズ監督の出身地らしく,星野仙一記念館がありました。

 

重要判例解説2

平成27年度重要判例解説で,私が主に担当している倒産事件のものを調べてみました。

東京地裁平成27年3月17日判決(金融・商事判例1473号38ページ)は,興味深い事例です。

親が死亡し,子2人が2分の1ずつ相続分を持っているときに,子の1人が破産する直前に,もう1人の子に全ての遺産を帰属させる遺産分割をすると,債権者を害する行為として,破産管財人による否認権行使の対象となり,破産管財人が遺産を取り返す等してお金に換えて債権者に分けられることになるのが原則です。

前述の裁判例は,共同相続人である長男と次男で,長男が法定相続分である2分の1を超える遺産を取得した後,次男が破産した事例です。

名主として代々長男が土地を取得して守っていく風習があったことや,長男が寺院等との宗教上のつきあいで今後多額の出費をする見込みであること等を考慮して,実質的には次男の債権者を害していないとして,否認権行使の対象になりませんでした。

名主の家柄であった等特殊な事例ですが,遺産分割を行った後に弁護士に依頼される方等の助けになる可能性がある裁判例です。

重要判例解説

毎年4月10日頃に,昨年1年間に出た重要判例をまとめた本が出版されます。

今年は,認知症の方が電車にはねられて死亡した際の親族の電鉄会社に対する責任や,小学生がサッカーゴールに向けてけったボールが道路に飛び出して,人が転倒した際の小学生の両親の責任等,民法の分野で話題になった判例が多かったように感じます。

5月

5月になりました。

ゴールデンウィークには帰省等で休暇をいただく予定です。

あしからずご了承ください。

 

4月

4月が始まりました。

新年度に入り,愛知県弁護士会の会長も代わりました。

裁判所は,裁判官や書記官の交代が行われ,事件の進行が遅くなる時期です。

引き継ぎなので仕方ありませんが,私の依頼者さんの件が少しでも早く進むよう,裁判所に働きかけたいところです。

経営者保証に関するガイドラインの研修

私の所属する弁護士会の倒産実務委員会で,経営者保証に関するガイドラインの研修を開催しました。

経営者保証に関するガイドラインは,法人が民事再生や破産をした場合に,連帯保証人である代表者や親族等が破産しないで済むよう,ガイドラインに基づき債権者と話し合いをする機会を広げるものです。

自己破産では99万円を超える財産が残るケースは少ないですが,それを超える財産が残る可能性があることや,信用情報に事故情報をのせないとされ,新たな事業を始めやすいこと等,自己破産にないメリットを持っています。

しかし,研修では,法人が破産する場合,少しでも債権者に配当できる状態にないと,代表者が破産するよう債権者が求めてきた例が紹介されました。

法人は,税金の滞納が多いと配当できなくなるので,税金等がたまらないうちに民事再生や法人の破産をすることで,代表者は,破産する場合より多くの財産を残す道が開けることになります。

 

 

自己破産と個人再生で迷う事例

自己破産と個人再生は,ともに裁判所で行う手続きで,集める資料も似ています。

主に浪費によって債務が増えた方や一定程度財産を持っている方の場合,自己破産であれば管財事件になり,20万円以上の予納金を裁判所に支払わなければなりません。

しかし,個人再生では,予納金は3万円以下ですむケースが大半です。

また,財産を処分しなければならない可能性も,一般的に自己破産の方が高いです。

一方,自己破産では,債務は,税金等を除いて0円になりますが,個人再生の場合は,少なくとも100万円は返済しなければならず,一定金額ずつ返済していける収入・支出の状況で限り,手続きが認められません。

このように,個人再生と,管財事件になる自己破産の選択は,財産が残るか否かや手続きにかかる費用や期間に大きな差が出る場合が少なくありません。

 

自己破産前の在庫処分について

法人や個人事業主の自己破産の相談では,在庫商品や什器備品を処分した方がよいか質問を受けることが,よくあります。

たしかに,在庫商品や什器備品を処分することで,自己破産に必要なお金を用立てることができたり,適切に処分すれば,事業所の明渡しも終わって,裁判所に納める予納金が安くなる可能性もあります。

しかし,安価で処分したり廃棄した場合は,後で不当に低い値段で処分して,債権者に分けるべき財産を減らした等として,免責が受けられなかったり,一定の金額を財団に組み入れる(弁償させられる)可能性もあります。

業種,在庫の量,価値等によると思われますので,詳細は弁護士までお尋ねください。

新年

明けましておめでとうございます。

昨年は,皆さまに大変お世話になりました。

私は現在,債務整理に最も力を入れていますので,1人でも多くの借金問題にお悩みの方の力になれますよう,精進してまいります。