月別アーカイブ: 2025年 10月

経営者保証ガイドラインと特定調停

1 特定調停とは

返済が困難になりそうな個人の方が、簡易裁判所に申し立てて、裁判所が選ぶ調停委員等に仲介してもらい各債権者(消費者金融、銀行、カード会社等)と話し合いで借金の整理をする手続きです。

過払い金が多く発生していた頃は、弁護士に依頼せずご自身で申し立てて借金の整理をする方もいましたが、現在は過払い金がほとんど発生せず、任意整理(裁判所を通さず各債権者と話し合いをする)に比べてデメリットが大きいでしょう。

たとえば、裁判所で手続きするので手間がかかりますし、払えなければすぐに差押えされる状態になります。

債権者間の平等が原則なので、最も短い返済期間しか認めないところに合わせなければならなくなりがちです。

このため、消費者金融やカード会社相手にやるケースはほとんどなくなっています。

ただ、平成26年以降、経営者保証ガイドラインができてからは、会社代表者など、会社の借入の保証人になっている方の借金の整理の方法として注目を集めています。

2 経営者保証ガイドラインでは特定調停の申立てが推奨されている

経営者保証ガイドラインは、会社の借入の保証人になっている方(会社代表者や取締役等)が、会社が破産や民事再生したときに一括請求を受ける保証債務について、各債権者

(信用保証協会や銀行等)と話し合いをして、借金の元本を減らしてもらうものです。

通常の話し合いでは元本を減らしてもらうのは困難ですが、経営者保証ガイドラインを使うと、大幅に元金を減らすことができます。

ただ、債権者は税務上損金処理ができないと困るので、特定調停で裁判所のお墨付きを得ることが必要になるのです。

3 特定調停の進め方

弁護士を通して経営者保証ガイドラインの話し合いを各債権者の担当レベルではOKをもらっておきます。

弁護士が簡易裁判所に特定調停の申立てをして、裁判所に経営者保証ガイドラインの要件を満たすこと等を確認してもらい、第1回目の裁判期日で調停が成立するのが順調な流れ

です。

ご本人は裁判所に出頭する必要がないのが通常ですので、会社代表者で保証債務以外にほぼ借金がないという方は、検討してみるとよいでしょう。