個人再生は残したい財産がある場合にお勧め

1 個人再生でなく自己破産を勧める弁護士には、経験が少ないことに原因がある可能性も

個人再生は、裁判所に申請して借金を減額してもらい、3年から5年で返済する手続きです。

自己破産は、多くの弁護士が経験しますが、個人再生は、1件もやったことがない弁護士も珍しくありません。

その理由は、令和2年度司法統計によると、令和2年度の自己破産の件数は7万8104件あるのに対して、個人再生は6557件と10倍以上の差がありますし、

専門的にやっている弁護士でなければ、返済額の計算や返済能力があることの示し方に難しい点もあるからでしょう。

自分の経験があって見通しが立てやすいからと安易に自己破産を勧める弁護士もいないとは限りませんので、注意が必要です。

2 個人再生は、資産があっても基本的に債権者にとられず、分割で支払えばよい

個人再生のメリットは、資産があっても基本的に債権者にとられないことにあります。

自己破産ではなくなってしまうはずの財産を残して借金の整理をすることができることも多いので、よくある個人再生の利用例を見てみましょう。

3 解約返戻金のある生命保険や学資保険がある場合

解約すると50万円の返戻金がある学資保険に入っている方が自己破産した場合、基本的にこの保険は解約して債権者への返済に充てられることになります。

個人再生では、他に目ぼしい財産がなければ、返済額が増えることもなく、学資保険を残して借金を減らすことができます。

4 住宅ローンのある自宅がある場合

住宅ローンが残っている自宅は、住宅ローンを約束どおり払うことで自宅を残す個人再生ができます。

自己破産の場合は、そもそも住宅ローンだけ返済を続けることができず、不動産も残せないことから、基本的に自宅に住み続けることはできません。

5 実家の不動産に持ち分がある場合

実家の不動産について、お母様が2分の1、相談者さんが2分の1など不動産の持ち分を有している方もいらっしゃいます。

自己破産では、この持ち分をお金に変える必要があるため、お母様が相談者さんの持ち分をお金を出して買い取ったり一緒に売る必要が出てきます。

一方、個人再生では、実家の不動産の時価が500万円なら、250万円を財産的価値として計上し、その他の財産も合わせた額を3年から5年分割で返済すれば

足ります。つまり、お母様に迷惑をかけることはありません。

6 このように、個人再生は残したい財産がある場合に幅広く使えますので、積極的に検討することをお勧めします。