日別アーカイブ: 2026年3月20日

偏頗弁済があった場合の自己破産への影響

1 偏頗弁済とは

自己破産でよく問題になる事例として、一部の債権者にだけ返済してしまうケースがあります。たとえば、次の事例をもとに破産に及ぼす影響を考えてみます。

EX)Xさんは、消費者金融Aから100万円、カード会社Bから100万円、勤務先Cから50万円借り入れている状態で弁護士に自己破産を依頼した。

Cは給与天引きで毎月5万円ずつ10カ月かけて回収し、Cへの借金がなくなった状態でXさんは破産の申立てをしようとした。

Xさんは、AとBへの返済を弁護士に止めてもらっている間に、Cにだけ50万円返済したことになり、これを偏頗弁済(へんぱべんさい)といいます。

2 予納金があがり、管財事件になる

自己破産には、同時廃止という簡易な手続と、管財事件という複雑な手続の2種類があります。

偏頗弁済がある場合は、後で説明するように、50万円取り返してきて他の債権者AやBにも平等に分配しなければならないので、破産管財人という第三者的立場の弁護士が選ばれる複雑な手続になるのが原則です。

同時廃止では裁判所に納める費用は1万数千円で済んだところが、管財事件になると最低20数万円、高ければ40万円くらい納める必要が出てきますので、大きな費用増になってしまいます。

3 破産管財人がC社に50万円返還するよう請求する

破産管財人は、裁判所から選ばれ、C社にかたよって払われた50万円をC社に請求して取り返す権限があります。これを否認権の行使といいます。

C社が話し合いで返さない場合は、管財人はC社に対して裁判して取り返すこともあります。こうなると二重に勤務先に迷惑をかけることになりかねません。

4 Xさんが免責不許可となる可能性がある

破産法では、特定の債権者に特別の利益を与える目的で返済した場合を免責不許可事由と定めています(破産法252条1項3号)。

つまりXさんが免責不許可、つまり破産しても借金がチャラにならない可能性があるということです。

5 まとめ

このように、軽い気持ちで返済したことが思いもよらない悪い結果を招くこともありますので、弁護士に依頼する以上は、お金の動かし方については弁護士に相談してアドバイスを求めましょう。