刑事事件で逮捕・勾留された場合の保釈

1 起訴後に釈放を求めるのが保釈

犯罪を犯したとして警察に逮捕・勾留された場合に、誰しも早く外に出たいと思うのが通常です。

逮捕段階や起訴前の勾留段階で釈放を求める手続きもありますが、認められないことが多いです。

これは、起訴前は、警察や検察側からすれば、証拠が集まりきっておらず、被疑者を外に出すと、自分の手で、または共犯者や被害者に働きかけて証拠を隠滅する可能性が高くなりがちと思われているためです。

一方、起訴後の保釈の段階では、認められる確率は上がってきます。

ここでは、保釈が認められやすい場合や認められにくい場合等をご紹介します。

2 保釈の法律上の要件

保釈は、刑事訴訟法に規定があり、一定の重大犯罪や前科がある場合でなければ、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときや、住居不定のとき等を除いて認めるのが建前になっています。

これを必要的保釈と呼んでいます。

短期1年以上の懲役または禁錮に当たる罪等重大犯罪の場合や長期10年以上の懲役または禁錮の前科がある場合等は、裁判所は、被告人が逃亡又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防除の準備の不利益の程度その他の事情を考慮し、裁量で保釈を認めることができるとされ、裁量保釈と呼んでいます。

3 結局は、証拠隠滅や逃亡の可能性が低いといえることが最重要

弁護士は、必要的保釈の要件を満たすことを最初に主張するわけですが、証拠を隠滅するおそれがないとか、逃亡のおそれがないと言えるためには、たとえば身元引受(出所し た後の監督)をしてくれる親族がいるかや同居しているか、隠滅可能な証拠としてどういうものが想定でき、それを警察・検察が集めきっているといえるか等がポイントになります。

同居の家族がいて安定した仕事がある方は逃亡や証拠隠滅しにくい一方で、一人暮らしで無職等であれば、逃亡しやすいと考えられているのです。

4 その他の事情

裁量保釈の場合の身体の拘束による不利益としては、社長であれば会社が倒産してしまうとか、サラリーマンであれば勤務先を解雇されてしまうとか、他には病気で満足に療養

できない等が考えられます。

これらの証拠を提出することで、保釈が通る可能性は高まります。

保釈が通るかは、様々な事情を考慮して決まりますので、詳細は弁護士におたずねください。