日別アーカイブ: 2021年3月25日

破産申立て前の不動産の名義変更

1 自己破産では不動産は手放すのが原則

自己破産する方が不動産を所有している場合、基本的に不動産は手放して、売ったお金は債権者に渡るのが原則です。

自己破産が、目ぼしい財産をお金に換えて債権者に分けても残った借金をチャラにしてもらう手続きであるため、不動産を何らかの方法で現金化することは避けて通れないためです。

2 無償で名義変更してもダメ

では、自己破産の直前にご主人名義の不動産の所有者を無償で奥様に変えるとどうなるでしょうか。

結論から言えば、全く意味がないか、自己破産しても免責されないかのどちらかです。

まず、住宅ローン等の担保が残っている場合、不動産の所有者を変えても、担保を設定している住宅ローン債権者は、住宅ローンが破産で払われない以上、不動産を競売等で強

制的に売却することができます。

これでは、名義変更して不動産を残そうとしても意味がありません。

また、無担保の不動産を、無償で奥様に名義変更することは、財産を隠したことになり、自己破産しても免責されない(借金が残る)事由に当たっています。

さらに、破産管財人という弁護士が裁判所から選ばれ、奥様等名義変更した相手方に訴訟をして、名義を戻したうえで売却する制度がありますので、結局不動産を残すことはで

きません。

3 適切な時価であることをどう示すかがポイント

ただ、自己破産しても不動産を使い続ける(自宅であれば住み続ける)方法もあります。

適切な時価を払って買い取り、担保を設定している債権者も同意すればよいとされています。

これは、たとえば時価2000万円の自宅に2500万円の住宅ローンが担保を付けている場合、ご主人が2000万円で奥様に売り、住宅ローン債権者が適切な時価と認めて

担保を外してくれれば、不動産を使い続ける(自宅であれば住み続ける)ことができます。

では、時価2000万円が適切であることをどうやって示すかですが、たとえば不動産業者2社の査定をとり、高い方の金額を採用する等が考えられます。

ただ、後に破産管財人が査定を取ってみると、2200万円と出れば、不足額の200万円を払うように言われたり、破産管財人が奥様に訴訟をして不動産をご主人名義に戻そ

うとするリスクがあります。

4 破産管財人から買い取ることも検討する

破産申立て前に自ら査定を取って売買しておく以外に、破産管財人が不動産を売却しようとする際に、他の不動産業者より高い金額で奥様等が買い取る方法もあります。

こちらであれば、破産管財人に時価が適切か疑問に思われるリスクは低いですから、急がないならこちらを検討するのが王道です。