日別アーカイブ: 2022年3月15日

事業者や会社代表者の自己破産の難しさ

1 事業者の自己破産とサラリーマンの自己破産の違い

自己破産される方の中には、今も個人事業を営んでいる方や、法人の代表者である方、少し前まで事業をしていた方も大勢いらっしゃいます。

こういう事業をしていた方の自己破産は、サラリーマンや年金ぐらしの人の自己破産にはない難しさがあります。

たとえば、事業用の資産である機械工具や在庫商品があるケースもありますし、仕入先や外注先の未払い、お店の賃料の未払いがあるのは、サラリーマンや年金暮らしの人には

ない特徴です。

2 管財事件になる可能性が高い

こういう事業性の財産や負債がないか調べたり、実際財産がある場合は、お金にかえられないか調査するため、裁判所は、事業者や会社代表者の破産は、基本的に管財事件とす

る運用をしています。

管財事件とは、管財人という裁判所が選ぶ第三者的立場の弁護士が、財産をおかねにかえて債権者に分けられないか調査する自己破産です。

3 事業用資産の注意点

売掛金のように顧客から回収すべきものは、破産管財人が回収するのが基本です。

在庫商品や機械類は、個別に買主をつのるか、まとめて買取業者に売るか等お金にかえる方法が問題となります。

日当制で土木建築業の手伝いをしている方等で、小さな工具を残す希望がある場合は、今後の生活にどの程度必要かや、時価の出し方によって、残せるかどうかがかわります。

4 事業にまつわる負債

仕入先や外注先の未払いが残っていないかは、通帳や決算書でお金の流れを調べたり、請求書等の郵便物を調査する必要があります。

自己破産では、原則としてお店等事業用の賃借物件は明け渡しますが、個人事業者が原状回復して返還できない場合、下手をすると個人で今後もずっと賃料を払うはめになりますので、取り扱いが難しいところです。

5 事業者や会社代表者の自己破産は、その経験が豊富な弁護士でなければ対応が難しい点がたくさんあります。

事業が止まるとお金が入ってこなくなり、全くお金がなくなってからでは自己破産もできなくなりますから、早めに弁護士にご相談ください。