実践フォーラム破産実務

「実践フォーラム破産実務」という本が出版されました。

自己破産に関する本は,数多く出版されていますが,この本の特徴は,本のほとんどが座談会形式になっていることです。

座談会形式のメリットとして,破産事件に精通している弁護士が,他の本に残しにくいきわどい処理をしたケースの一端に触れることができる点があります。

また,破産事件をやっている弁護士が,そう頻繁には出会わないが,たまに出会う問題点についても,ある弁護士の経験談として語られているところもあって,

結論が出ているわけではないところをどのように処理するかの方針を知ることができます。

たとえば,法人の破産事件で,従業員の給料は,金融機関からの借入等に優先してもらうことができますが,代表者が法人に払ってもらっていない役員報酬は,金融機関からの借入等と

同様にもらえないのが原則です。これを,廃業直前の最後の役員報酬は,資産状況によっては生活給的な範囲での支給は許容される場合があると述べている方もいらっしゃり,法人の

代表者さんが立ち直る上でプラスになる考え方です。

また,法人のお金で代表者個人の破産事件の費用を用立てることは,原則として法人のお金を私的に流用したことになるので禁じられていますが,これも,最後の役員報酬から用立てたものと

説明できる場合があるという記述もあり,参考になります。

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裁判員裁判における量刑評議の在り方について

裁判員裁判は,法律家でない皆さんも参加される可能性がある刑事事件の裁判です。

裁判所が,選挙人名簿を参考に裁判員候補者を呼び出し,一定の質問等をへて実際に裁判員に選ばれる方が決まります。

裁判員は,プロの裁判官とともに,犯罪を犯した疑いがある被告人を無罪にするか有罪にするか,有罪であれば,どれくらいの刑罰を科すかを決めます。

このどれくらいの刑罰を科すかを,「量刑」といい,裁判官と裁判員が協議して量刑を決めることを量刑の評議といいます。

大学教授や裁判官が,この裁判員裁判の量刑の評議をどのように行うべきかをまとめたのが,「裁判員裁判における量刑評議の在り方について」という本です。

裁判員裁判の弁護を務める弁護士が必ず読む本といっても過言ではありません。

この本によると,以前の刑事裁判は,被告人に前科がないとか,被告人を監督してくれる親族がいるといった,犯罪自体とは直接関係ない事情も総花的に主張されていました。

また,刑法の殺人罪には,保険金殺人,介護疲れを理由とする殺人,怨恨を理由とする殺人など,社会一般的には,非難の程度が違うものが一緒くたに規定されています。

そこで,刑事裁判は,被告人が行った行為にふさわしい刑罰を決める手続きであることから,まずは,被告人の行為の社会的類型(保険金殺人,介護疲れを理由とする殺人等)を決め,裁判員の方に,量刑検索ソフトを使って,量刑の大体の幅を示します。

その他の事情は,それを微修正する要素として取り扱うように評議を行うという方法を勧めています。

たしかに,刑事裁判が初めての方には,大体の幅を示してもらうことには大きな意味があると思いますが,その社会的類型の決め方が本当に正しいのか,量刑検索ソフトにかける条件が大ざっぱすぎて,本当に今回の件と似た類型のものが選ばれているのか疑問に思われるケースもあるでしょう。

量刑検索ソフトで出てくる他の件と今回の件で,本当に違いがないのか,違いがあるならどのように量刑に反映させるのがよいか,検討する必要があります。

また,弁護士としては,前科がないとか,監督してくれる家族がいるという事情が,なぜ量刑を軽くする事情になるのかを,一般の方に理解していただけるように説明する必要があります。

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子どもの人権相談

私の所属する愛知県弁護士会の子どもの権利委員会では,「子どもの人権相談」

という,無料の電話相談を行っています。

学校でのいじめや,学校の先生に関する問題等の相談をお受けしており,子どもさん自身からの電話もあります。

本日も,子どもさんが高校から退学を勧告されているという相談を受けました。

退学処分は,学校側の処分としては最も重いもので,簡単に認められるものではないはずですから,子どもさん側としては,処分の理由や根拠を明らかにするよう求め,他の類似の例に比べて処分が重すぎないか等,検討していくことになるでしょう。

個人再生の手引き

「個人再生の手引き」という,東京地方裁判所の裁判官が編者となっている個人再生に関する本の第2版が,平成29年6月末に発売されました。

アマゾンでは,発売当初は売り切れていましたが,ようやく手に入れることができました。

住宅ローンのある自宅マンションの管理費が滞納になっている場合は,原則として自宅を残すことができないことや,個人再生手続が認められた後に再生計画にしたがった返済ができなくなって,再度個人再生の申立てをする際の注意点等が加筆されていました。

 

債権者破産

破産は,破産せざるをえないと判断した会社や個人が,自分の意思で裁判所に破産したいと申立てをするのが通常です。

これを自己破産と呼んでいます。

これ以外に,破産の申立ては,債権者もすることができ,債権者破産と呼ばれます。

債権者破産は,債権者が,債務者が財産隠しを行っている等誠実な返済が見込めないと考えた場合に,破産の申立てをして,裁判所に管財人を選任してもらうことで,管財人の権限を使って財産を調査したり,債権の回収を図る方法です。

債権者破産の場合,申立てをする債権者は,相当な金額を裁判所に納めなければならず,債務者の財産が少ない場合は,かえって損をする可能性があります。

一方,破産手続きでは,破産させられる債務者は,管財人に対し,重要な財産を開示したり,求められた事項を説明する義務を負い,違反すれば刑事罰を受けることもあります。

管財人は,郵便物の転送も受けることができるため,通常債権者が把握できない財産を発見できますし,破産者が財産を処分する権利を失わせることができるので,財産隠しを行うのを防ぐ効果もあります。

 

 

法的整理と私的整理

会社や個人事業主が,事業性の借入金等を債務整理するとき,法律に基づいて半ば強制的に債務を減額するか,債権者との話合いを通じて債務整理をするかで大きく2つに分かれます。

前者を法的整理と言い,自己破産や民事再生(個人事業主では個人再生が一般的です。)がこれにあたります。

後者は私的整理と言い,債権者と相対で話合いをするものもありますし,第三者的な立場の機関に関与してもらって話合いをする場合もあります。

法的整理の場合,原則として全ての債権者を対象に減額してもらわなければならないため,取引先に対する支払いも約束どおりできなくなることが多く,一般に知れ渡ることが多いため,信用が傷ついて事業を続けていくのに支障が出ることもあります。

私的整理では,金融機関だけを相手にすることが多く,取引先や下請を保護したり,一般に知られずにできることも珍しくありません。

一方,私的整理では,原則として対象となる全ての債権者が同意しない限り債務の支払条件を変えられないため,一人でも反対する債権者がいれば,債務整理ができないことになります。

また,私的整理では,話合いに時間がかかるうちも最低限利息だけは支払い続けなければならないことが多く,途中で資金繰りがつかなくなれば,事業が成り立たなくなってしまいます。

そこで,会社や個人事業主の債務整理の相談を受けた弁護士は,事業継続の意思,債権者の顔ぶれ,資金繰り等を考慮して,法的整理か私的整理か決めるためのアドバイスをさしあげることになります。

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未払賃金立替払制度の証明者

未払賃金立替払制度を利用する場合,誰が未払いの賃金額等について証明するかは,大きく2つに分かれます。

1つ目は,破産管財人です。

破産手続開始決定がなされている場合は,破産管財人という裁判所が選任した第三者的な立場の弁護士が,賃金台帳,タイムカード,就業規則等を確認して未払賃金の額を証明するのが通常です。

2つ目は,労働基準監督署長です。

自己破産の申立てがされていない事実上の倒産状態のときや,破産手続開始決定が出ているが,破産管財人が未払賃金額等を証明できないと考えたときに,労働基準監督署長が認定する制度があります。

未払賃金立替払制度

法人や個人事業主が自己破産する場合,従業員の給料が払えないままになっていることがよくあります。

この場合,独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度を検討することになります。

未払給料のうち8割程度まで支払われますが,解雇予告手当は対象外とされているほか,勤務時間や勤務実態が不明瞭で証明が困難な場合は,支払いが受けられないケースもあるので,注意が必要です。

税金の滞納

債務整理の依頼者さんには,税金や国民健康保険料を滞納している方が少なくありません。

税金や健康保険料は,消費者金融やクレジットカード会社と異なり,裁判をせずに給料等の差押えができるうえ,債務整理をしても,基本的に支払義務は残ったままです。

ただし,法人の税金や健康保険料は,法人が破産すると主体がなくなるので,支払義務もなくなります。

 

7月

7月になりました。

債務整理の依頼者さんで,6月から7月にかけてボーナスが入る方も少なくありません。

債務整理をされている方は,ボーナスを計画的に使うことが,経済的に立ち直るために重要ですから,ボーナスの使い道について弁護士とよく相談することをお勧めします。