弁護士による債権の回収

弁護士の業務の一つに,債権の回収があります。

債権とは,人が他人に対して何かをしてもらう権利を有していることです。

たとえば,友人に貸したお金が返ってこない,取引先に商品を売ったのにお金を払ってこない等が債権の回収の典型例です。

友人にお金を貸せば,返してもらう権利がありますし,取引先に商品を売れば,売買代金を払ってもらう権利があるので,これが債権になるのです。

債権の回収には,大きく分けると3つのステップがあります。

一つ目は,話し合いで払ってもらう段階です。

二つ目は,訴訟をして判決等を取得する段階です。

三つめは,強制的に相手の財産を取り立てる段階です。

一つ目の話し合いは,訴訟をするにもお金と時間がかかりますから,まずは相手方が任意に支払うことに期待して行うことが多いです。

弁護士に依頼すれば,内容証明郵便等で相手方に連絡をとり,相手方から何らかの返答があれば,相手方が払ってこない理由や,相手方の財産・収入等を把握しようと

試みます。

これは,第二段階で訴訟する場合の展開を予測したり,第三段階で強制的にとれる相手の財産がどこにあるかを予測する布石という意味もあります。

無事に話し合いがつけば,支払額や支払条件を決めた合意書を作り,合意書どおりの支払いを求めます。

この話し合いの段階で,相手方から何の返答もなかったり,何ら支払いの意思を示さない場合は,第二段階の訴訟に進みます。

訴訟では,証拠資料をもって相手方にお金を払ってもらう権利があることを裁判所に示し,判決をもらえば第三段階に進むことができます。

証拠資料が大幅に不足している場合は,この段階で勝訴判決をもらえないこともあります。

第三段階は,判決が出ても払ってこない相手に対し,相手の財産を差し押さえて強制的に取り立てる段階です。

ここでは,支払えるだけの財産や収入がない相手が,手ごわい相手になります。

自宅が持ち家であれば自宅を,勤め先が分かっていれば給料をなど,差し押さえる相手の財産が把握できている場合はよいですが,

そうでない場合は,判決をもらっても差し押さえる財産が見つからず,取り立てができないこともあります。

結局,債権の回収をどこまで進めるかは,債権の額,証拠の量,相手方の資力等を総合して判断することになります。

詳細は弁護士までおたずねください。

 

 

 

 

 

 

廃業と事業譲渡について

事業をされている方が廃業するのにともなって,その事業を別の方に引き継ぐことはよくあります。

たとえば,A社が多額の債務を抱えて自己破産して廃業するときに,A社の事業を何の対価も支払わずにB社が引き継いで行うことは,破産法上,B社が賠償を求められることがあります。

破産法160条3項は,「破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は,破産手続開始後,破産財団のために否認することができる。」

と定めています。

法人が自己破産すると,裁判所が,破産管財人という第三者的な立場の弁護士を選任します。

破産管財人は,債権者に分ける財産を増やすため,不適切に破産者の財産が失われた場合は,それを取り返す仕事もします。

A社の事業には,使っている機械工具や営業権(のれん代)等何らかの価値があるはずで,これが何の対価も支払われずB社に引き継がれた(無償行為)のであれば,破産管財人は,B社に対し,引き継いだ財産を返すよう求めたり,その対価を支払うよう求めることができ,これを破産法160条3項では「否認する」と記載しています。

破産管財人が否認する場合は,B社と交渉することもあれば,B社に対して訴訟することもあります。

大阪高等裁判所平成30年12月20日判決で,破産管財人から4000万円を超える賠償の請求が認められた裁判例が公表されています。

これは,A社が,メーカーから仕入れを行う一次卸売業者から菓子等を仕入れてパチンコ店向けに卸売する二次卸売業者という事例です。

A社が取引先のパチンコ店に対し,A社からB社に事業を引き継ぐと説明しB社が,A社のリース物件を使用して,一時卸売業者からの仕入値も取引先のパチンコ店への卸値もA社の頃と同じ金額で行っていた等の事実関係から,A社がB社に単に取引先を紹介しただけでなく,事業を無償で譲渡したものと認定し,破産管財人からB社への多額の請求を認めています。

メーカーの卸先も取引先のパチンコ店も限定されており新規参入が容易でない一方,多額の商機投資を要しないという業態にも理由があるようですが,取引先を紹介するだけであるから問題ないと

軽く考えると,事業を引き継いでくれるところに思わぬ迷惑をかけたり,法人代表者自身の債務が免責されなくなる等の可能性もありますので注意が必要です。

 

自宅の任意売却と競売

1 任意売却と競売

自己破産等の債務整理に伴って自宅を手放す場合に,任意売却と競売のどちらを選ぶのがよいかという質問をよくいただきます。

任意売却は,自ら不動産業者を選んで不動産を売りに出すことです。

競売は,債権者が裁判所を通じて強制的に不動産を売ることです。

2 任意売却のメリット

任意売却は,競売より高値で売れるため,連帯保証人がいる場合等は少しでも残る債務が少なくなるメリットがあります。

また,協力してくれた対価として,債権者や買主との話し合いで,引越協力金等の名目のお金をもらえることがあります。

競売はBITと呼ばれるインターネット上のサイトに情報がのるため,近隣住民等に借金が払えずに競売になったことが知れる可能性が十分あるのに対して,

任意売却の場合は,近隣住民等には普通に不動産を売り出しているだけに見えるので,借金のことが知れる可能性が低くなります。

3 競売のメリット

任意売却では,不動産業者とのやりとりや,購入を検討される方が家の中を見に来るのに立ち会う等の手間がかかるのに対して,競売は,債権者が手続きを進めるので,裁判所の職

員が1回自宅を見に来るのに立ち会う以外は,ほとんど手続きの手間がかかりません。

また,任意売却は,自分で売り出している以上,不要な家具等を置いていくことことはできず,廃棄物処理業者に頼んで処分しなければならないことも多いですが,

競売の場合は,放置しておいても買主が処分してくれることが多いといえます。

4 まとめ

このように,任意売却と競売にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

ちょうど,任意売却のメリットが競売のデメリットになり,競売のメリットが任意売却のデメリットになるという関係です。

私に依頼いただいて任意売却を検討される方には,任意売却の経験豊富な不動産業者をご紹介することもできます。

任意売却は,通常の不動産売買と異なり,債権者との交渉も必要になります。

たとえば,住宅ローンが1000万円残っている不動産で,売っても600万円程度しかならない場合,住宅ローンの債権者は,完済できていないため抵当権を抹消できないはず

ですが,これ以上では売れないこと等を理解してもらって,交渉により抵当権を外してもらう必要があるのです。

このように,不動産業者の中でも任意売却の経験豊富な業者を選ばなければ,任意売却もうまくいきません。

詳細は,弁護士におたずねください。

 

 

 

保証人と民法改正

2020年4月1日から,改正された民法が施行されます。

明治以来の大きな改正となりましたが,債務整理をする弁護士としては,保証債務の規定が改正されているのが大きな影響を及ぼします。

1 保証人に対する情報提供義務

これまで保証人は,主債務者がきちんと支払いを続けているかや残っている債務の額等について,正確な情報を手に入れる機会に恵まれないまま,突然一括で多額の

請求を受けることもありました。

そこで,主債務者の委託を受けた保証人が債権者に請求すれば,債権者は,保証人に対して,債務の元本や利息等いくら債務が残っているかに関する情報や,主債務者が遅れなく支払っているかを速やかに教えるという規定がおかれました(改正民法458条の2)。

また,保証人が請求しなくても,主債務者が期限の利益を喪失した(延滞して一括請求を受ける状態になった)ときは,債権者は,期限の利益の喪失を知ったときから2ヶ月以内に,個人の保証人に対して,期限の利益を喪失した旨の連絡をしなければならないという規定もおかれました(改正民法458条の3)。

2 個人の保証人の保護

一定の限度額や目的の範囲内で,将来にわたって発生する債務も保証するのを,根保証契約といいます。

これまで,個人が貸金等契約の根保証をする場合は,極度額(限度の枠)を決めなければならないとされていましたが,貸金等契約以外の保証では,極度額を決めなくてもよいとされていました。

今回の改正で,個人が根保証をする場合は,全て極度額を定めなければならないことになりました(改正民法465条の2,4)

最も影響が出やすいのは,賃貸借契約の保証人でしょう。

賃借人が知らないうちに賃料を長期間滞納しており,保証人が非常に多額の賃料を請求される例が数多くありましたが,今後は減っていくものと思われます。

3 以前に締結した保証契約への影響は少ない

では,民法改正前に締結された賃貸借契約の保証人は,極度額の定めがなければ請求を受けないのでしょうか。

民法附則21条は,「施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については,なお従前の例による。」と定めています。

そうすると,基本的には,2020年3月31日までに締結した賃貸借契約の保証人は,極度額の定めがなくても全額の請求を受けると考えられる点に注意が必要です。

 

個人再生と債権者の賛成

1 債権者の賛成がいる個人再生といらない個人再生

個人再生は,裁判所を通じて,借金を減額してもらい,3~5年で支払う債務整理の方法のひとつです。

個人再生には,債権者の半分以上の賛成が必要な小規模個人再生と,債権者の賛成がいらない給与所得者等再生の2種類があります。

これだけ見ると,誰しも給与所得者等再生を選びたくなりますが,最高裁判所の統計では,9割程度が小規模個人再生を選択しています。

その理由は,給与所得者等再生がはるかに支払額が多くなる場合が多いというほか,債権者が反対するケースはあまり多くないためと言われています。

2 債権者が反対する場合

小規模個人再生で債権者が反対するのに理由は必要ありませんし,弁護士から債権者に問い合わせをしても,明確な回答をする債権者はほぼいません。

ですから,個人再生の申立てをする時点で,債権者が反対するかどうかは不明です。

しかし,一般的に,債権者が反対するかどうかは,いくつかの要素を総合的に判断して決めているようです。

1つは,そもそも反対しやすい債権者がいるということです。

公庫や信用保証協会等,純然たる民間の金融機関でない債権者は,反対することが多いといわれていますし,消費者金融やカード会社にも,資料を詳細に検討して賛否を決めている業者がいます。

2つ目は,収入・支出のバランスと返済状況です。

無駄使いが多いから債権者に支払える額が少なくなるのであれば,債権者は納得しませんので,目いっぱい節約しても,多くは支払えないことを家計を集計する等して

示していく必要があります。

また,借入を始めて早々に個人再生をした場合は,借入当初から返済の見込みがなかった可能性があるうえ,債権者は利息による収入をほとんど得ていませんから,

反対の可能性は高くなります。

3つ目は,財産状況です。

債権者は,少なくとも,自己破産になった場合よりどの程度多くの支払いが得られるかを考えます。

自己破産の場合は,目ぼしい財産はお金に換えて債権者に分けられますから,債権者からすれば,分割ではなく,早期にまとまったお金が手に入る可能性があります。

そうすると,財産が多いほど,反対される可能性が高いといえます。

3 まとめ

小規模個人再生では,債権者の頭数でも,金額でも,少なくとも半分以上が賛成してくれなけばなりません。

そのため,債権者が反対して失敗する場合は,1つの債権者が半分以上の債権額をもっているか,債権者数が2,3社しかいないケースが多いです。

この場合は,給与所得者等再生が選べるケースか,選べるとしてどの程度支払額が増えるのか等を慎重に検討して,いずれの個人再生を選ぶのか決める必要があります。

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弁護士会照会

弁護士が証拠を集める手段として,弁護士会照会という制度があります。

弁護士は,どこかの都道府県の弁護士会に所属しています。

弁護士法23条の2には,次のように定められています。

弁護士は,受任している事件について,所属弁護士会に対し,公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。

弁護士会は,前項の規定による申出に基き,公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

つまり,弁護士会が,所属する弁護士が依頼を受けている事件について,資料を提供したり質問に答えてほしい企業や役所に対して回答を求める制度です。

弁護士会照会は,法律に基づくもので,照会を受けた企業や役所は,原則として回答する義務があると最高裁判所も認めています。

たとえば,愛知県弁護士会に所属する弁護士Aが,Bさんから,Cさんに貸したお金を回収する依頼を受けました。

A弁護士は,Cさんに対し,貸金返還請求訴訟を起こして勝訴判決を得ました。

Bさんが,Cさんの財産がどこにあるか把握していない場合,強制的にCさんの財産をお金にかえて取り立てるためには,Cさんの預金口座がどこにあるか把握できると効果的です。

そこで,A弁護士は,D銀行に対し,Cさんの預金口座があるか,ある場合は,口座番号や残高を照会したいと考えます。

A弁護士は,愛知県弁護士会に申し出て,所定の手数料を支払い,愛知県弁護士会が審査して問題ないと認めれば,愛知県弁護士会が,D銀行に対し,Cさんの預金口座があるかや,口座番号,残高を回答してほしいという照会をします。

これが弁護士会照会です。

D銀行がA弁護士に,Cさんの預金口座の口座番号等を回答すれば,A弁護士は,CさんのD銀行の預金口座を差し押さえることで,強制的にCさんの財産からお金を取り立てることができます。

このように,弁護士会照会は,強力な制度ですが,D銀行が,Cさんの個人情報に関わるからと回答を拒否することもあります。

実際に,銀行の本店に問い合わせをしたときに,支店分も含めて回答がされる銀行は,一部に限られています。

しかし,裁判所が判決で,BさんがCさんにお金を貸したが返済を受けていないと認めているにもかかわらず,D銀行が回答を拒否した結果,Bさんが貸したお金をとりたてられないのも問題がありますから,運用の改善が必要とも考えられます。

 

 

名誉棄損の法的責任

近年,インターネット上の書き込みで名誉棄損やプライバシー侵害に当たるとされる事例が増えてきています。

一般の方が以前より気軽に情報発信ができるようになる一方で,行きすぎた発言や書き込みが原因で損害賠償請求を受けることもあります。

そこで,名誉棄損で損害賠償請求を受ける要件をみてみましょう。

まず,名誉毀損は,人がその品性,名声,信用等について社会から受ける評価を低下させる行為をいいます。

離婚や懲戒解雇に至った理由を開示する場合なども名誉棄損に当たる可能性があるので注意が必要です。

社会的な評価が低下する内容かどうかは,たとえばインターネット上のウェブサイトの記事であれば,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきと最高裁判所の判例には書かれているにすぎず,かなりあいまいなものになっています。

しかし,人の社会的評価が低下する書き込み等を全て損害賠償の対象とすれば,一般の方が人を批判する情報発信ができなくなってしまいますから,最高裁判所の判例でも,特定の要件を満たせば,問題のない情報発信とすることができるとしています。

その要件は,①公共の利害に関する事実にかかわること②もっぱら公益を図る目的に出た場合であること③摘示した事実が真実であることが証明されたこと又は摘示した事実を真実であると信じるについて相当の理由があること となっています。

また,名誉棄損は,事実を摘示して行う場合のほか,意見・論評を行う場合もあり,言論の自由への配慮から,事実を摘示して行う場合より,少し緩やかに問題がないものと認められています。

それでも,どの要件も抽象的で,結局裁判官の個性に左右される面もありますから,インターネットに他者に対する批判を書き込む場合は,慎重な判断が求められますので,詳細は弁護士までおたずねください。

 

 

個人再生と個人の通常民事再生

裁判所を通じて債務を減額してもらい,3年から5年かけて支払っていく手続きを,個人再生といいます。

任意整理では,原則として元本が減らないことから,債務額が多いと分割払いの話し合いをしても返済しきれないことがあります。

一方,自己破産では,不動産,一定の価値がある車や保険は手放さなければならず,自宅,車,保険等を残して債務を整理したいという方に,個人再生はよく使われています。

ところで,個人再生は,住宅ローンを除く債務額(詳細な計算方法は複雑なので割愛します。)が5000万円以下でなければなりません。

法人の保証債務がある方や,事業をされている方,収益物件のローンが残っている方等で,債務額が5000万円を超える方もいらっしゃいます。

その場合は,個人再生が使えず,通常の民事再生という複雑な手続きになります。

通常の民事再生は,近年では,航空会社のスカイマーク等の大きな法人が,債務を減額して事業を続けるときに行う手続きです。

通常の民事再生は,原則として,監督委員という別の弁護士が裁判所から選任され,財産の時価評価や債務額の確定もより厳格に行われます。

そして,個人再生では,債権者が積極的に反対票を投じない限り賛成したものとみなされるのに対し,通常の民事再生では,債権者が積極的に賛成票を投じない限り反対したものとみなされるので,債権者が何もしなければ,否決されてしまいます。

そのため,通常の民事再生を試みる方や依頼を受けた弁護士は,債権者の理解を得るため,個人再生以上に積極的に活動する必要があります。

 個人再生についてはこちらもご覧ください。

相続財産管理人

相続財産管理人とは,裁判所から選ばれ,相続人がいない人の相続財産を管理する仕事をする者です。

たとえば,子や兄弟がいない人が不動産を持ったまま亡くなると,不動産を相続する人がいないことがあります。

ただ,亡くなった人にお金を貸していた人がいれば,不動産を売ったお金で返してほしいと思うのは自然なことです。

そこで,お金を貸していた人は,裁判所に対し,相続財産管理人を選任するように申し立て,相続財産管理人が不動産を売却して,お金を貸していた人等に支払いをすることになります。

相続財産管理人は,亡くなった方の財産や負債を調査し,財産をお金に換えて債権者に支払いをします。

また,相続人がいないけれども,特別に亡くなった方を世話した方等が,財産を受け取る権利を主張して申立てをすれば,特別縁故者に該当するか検討して財産を分ける仕事もします。

このような専門的な仕事ですから,相続財産管理人には,弁護士等の法律の専門家が選ばれるのが一般的です。

相続人がいない人の財産は,最終的には国のものになるのですが,国が不動産のまま受け取ることはめったにありません。

そこで,近年は,なかなか買い手がつかない不動産を,どのように売却して現金化するかが課題となっています。

 

少年事件の抗告

非行を犯したとされる少年(20歳未満の者)を弁護する事件を少年事件といいます。

弁護士は,付添人という立場で関与し,少年の言い分を法的に主張したり,二度と非行をしないように立ち直るための環境を整える役割をします。

たとえば,少年が自分はやっていないというのであれば,非行をしたという警察等の証拠が十分なのか検討したり,少年に有利な証拠を集めます。

また,少年が非行をしたことを認めているのであれば,被害者と示談をしたり,両親,学校,職場等と少年を応援してもらえるよう調整する役割をします。

少年事件は,家庭裁判所で審理され,不処分,保護観察,少年院送致等が判断されます。

家庭裁判所の判断に不服がある場合は,抗告といって,上級の裁判所(高等裁判所)で争うことができます。

抗告は,家庭裁判所の審判の決定があってから2週間以内にしなければなりません。

抗告が認められるのは,法令違反(手続きが法律上誤っている等),重大な事実誤認,処分の著しい不当(非行の内容等に比べて非常に重い処分になっている)とされています。

家庭裁判所の審判が直ちに停止されないので,家庭裁判所が少年院送致の決定をしている場合,少年院にいる少年と弁護士で打合せをしつつ進めます。

抗告が認められて家庭裁判所の判断がくつがえる例は少ないのが実情ですが,弁護士の腕の見せ所でもあります。